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シアトル近辺の美味しいレストラン食べ歩き
by seafoodie
プロフィール
シアトル在住のAlexです。美味しいものが大好きなので、レストラン訪問記をまとめてみました。

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Lampreia (ランプレイア)
Lampreia (ランプレイア)_b0198361_9503696.jpg

★★★★
Lampreia
2400 1st Ave
Seattle, 98121
206-443-3301
(注) 現在は閉店。同シェフによって、Bisatoという少しカジュアルなレストランとして再オープン。

 Lampreia(ランプレイア) は、シアトルのダウンタウンエリアで僕が一番好きなレストラン。いつ行っても、素材本来の味をソースなどで隠してしまわずに、最大限に引き出すような料理法には頭が下がるばかり。いつも誕生日とかクリスマスとか特別なときに行くんだけど、随分ここには行ってなかったので、今回行けるとなったときには飛び上がって喜んでしまった。

 Lampreiaはダウンタウンの中のベルタウンという、美味しいレストランが集中しているエリアにある。入り口はとても地味であまり目立たない。インテリアも"Mistral"と同じく、本当に最低限のコーディネーションしかしていない。90年代の流行っていえばそうなのかもしれないけど、もうちょっと凝った内装だったらもっと良かったのにな。

 今回は以前The Herbfarmに行ったときのメンバーとほとんど同じだけど、一人日本に帰っていて来れなかったので3人。アピタイザー2種類とインターメッツォ2種類を頼んで、みんなでシェアして食べようということになる。僕が大好きなパスタの白トリュフ風味や、フォンテナチーズソースを使った子牛がなかったのでちょっとがっかりしたんだけど、でも新しいメニューに挑戦してみるいい機会だ。

 まず最初に頼んだのはトロのベーコン。どんなものが運ばれてくるか想像もつかなかったんだけど、運ばれてきたものは誰の想像からも大きく外れたものだった。見た目には本当に動物肉のベーコンのようにしか見えない。でも食べてみると魚肉の風味が強い。例えてみると、まるで鯨肉のような、半分魚で半分動物の肉のような感じ。それが本当に香ばしくスモークしてあって焼いてある。重そうに見えるんだけど、普通のベーコンほどしつこくはない。魚肉の脂の方がずっとずっと軽いからね。本当に美味しくて、ノッケから目ウロコな経験だった。日本だったら大トロのいい部分をあぶるなんてバチ当たり的なことなんだけど、薄くスライスして焼いてしまうという、なんとも大胆な料理。脱帽です。

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トロの「ベーコン」!

 お次はシャントレル・マッシュルームとソーセージ。 ソーセージはとてもしっかりとした味わいなんだけど、それでいて全然重くなくてすごく美味しい。普通ソーセージって、なんとなく肉の臭みがあって僕は好きな方じゃないんだけど、このソーセージはその概念を覆してしまうよう。滋味溢れるっていうのかな、とにかく臭みのない味が口いっぱいに広がって感動の極致。このソーセージと一緒にシャントレル・マッシュルームを頬張ると、「嗚呼、Lampreia、万歳」って感じ。

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シャントレル・マッシュルームとソーセージ

 さて次は定番、フォアグラのテリーヌ。一口食べると、舌の上でとろけて、コクのある旨みが口の中一杯に広がる。ここまでは普通のフォアグラと同じなんだけど、非凡なのが微かに感じるリンゴの風味。そういえばメニューの左側にはリンゴ尽くしコースメニューが書いてあったっけ。どうやってこのリンゴの風味をフォアグラにつけてるのかわからないけど(フォアグラの手前のやつはリンゴソースみたいに見えるんだけど実は違うんだよね)、このリンゴの香りが、どちらかというと重くなりがちなフォアグラの味を、重さを全く取り払った旨みだけの味に大変身させている。これだったらソーテルヌはいらないな。実は僕、フォアグラはあまりファンではない。しつこいモノがあまり得意じゃないので、フォアグラのようなこってりしたものはアラカルトでは頼まないんだけど、このフォアグラには驚いた。リンゴの香りがこんなにもイメージを変えてしまうなんて思いもよらなかった。さっすがー。このフォアグラに乗ってる赤いヤツは食べなかったので(みんなでシェアしてたから)、なんだかわかりません。

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フォアグラのテリーヌ

 お次のインターメッツォはカネロニ。イタリア料理では有名で、普通は円筒形をしてるもんだから、この皿が出てきたときには驚いてしまった。まるでピザを切り出したような、薄い「パスタのようなもの」。一口食べてみて、口の中に吹きすさぶ僕の大好きな風味に涙が出そうになってしまった。これは白トリュフの香り! どうやらソースの中に白トリュフのオイルを入れてあるらしくて、もうこれが全身に鳥肌が立つくらい美味しい。だいたいパスタと白トリュフの組み合わせって、ここLampreiaで知ったんだよね。ここのシェフはイタリアでミシュランの星つきレストランを持ってたので、フランス料理っぽいんだけど、やっぱりイタリア料理の魂が感じられる。あー、これ全然カネロニらしくないけど、そんなこともうどうでもいい。パスタとチーズと白トリュフ。これさえあれば僕はもう何もいりません。

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カネロニ

 このディナーでは、ワインは白を一本、赤を一本頼んだんだけど、それは一緒に行ったFさん任せ。白はどことなく若草の香りがして、とても風変わりな味だった。でもカネロニとすごくよく合ってた気がする。ただ赤に感動し過ぎちゃってて、白の名前を控えるのを忘れちゃったのがちと残念。赤は1996 Cannubi Boschis Sandrone Barolo。僕はこの名前、全然知らなかったんだけど、初めて一口飲んだときにボーッとなっちゃうくらいのワインだった。「どうしたの? 大丈夫?」って言われてやっと我にかえるほど。最初の口当たりはとても柔らかな赤ワインなんだけど、すぐに味が何層にも分かれて、口の中の全ての味覚を刺激する感じ。花の香りと、ベリーの香り。あまりタンニンは強くなくて、後味は美味しいベリーの風味がたなびきながら消えていく感じ。イタリアのワインは明るくてとても好きなんだけど、こんなにすごいイタリアワインは初めてだった。価格を見なかったんだけど、なんか今回食べた全ての食事を合わせた値段よりももっと高いらしい。味が何層にも口の中に広がったときに、「これは高い!」って感じたんだよなぁ。いやぁ、本当にいい経験させていただきました。これで病みつきになったら困るんだけどなぁ…。

 さて今回のメインディッシュはさんざん悩んだあげく、僕は子牛。今回は僕の好きなフォンテナチーズソースじゃないけど、新たなソースにも挑戦してみたかった。口に入れると、まず表面のとても美味しい海塩を感じて、噛み締めると旨み溢れる肉汁が口の中にほとばしる。ソースはレモンとタイムを感じたけど、どちらも本当にヒント程度。ソースのどっしりした背骨をこのレモンとタイムで軽くしてる感じ。それでいて子牛の本来の味を引き立てて、それを何倍にも増幅してくれるこのソース、まさに見事としか言いようがない。どうやって使ってるのかわからないけど、このねー、表面についてる塩味がほんっとに美味しいんだ。海の塩、それも特上のヤツを使ってるらしく、まさに「旨み」の原点といった感じ。全ての味が微妙にバランスしたこの子牛の料理、気取っているようでもなく、繊細でもない。客に「子牛肉は本当はこういう味なんだよ、楽しんで食べてね」ってことを皿が喋っているような、本当にそんな感じのメインディッシュだった。

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子牛

 Fさんがメインディッシュに頼んだのは子羊の肉。僕も子羊にしようか子牛にしようかさんざん迷ったんだよね。この子羊、んもー素晴らしいなんてもんじゃない! 自分の子牛肉が史上最高のものだと思って食べてたけど、この子羊の肉を貰って食べたときには子羊を頼めばよかったと思っちゃった。とにかく本当にスゴイ。見てわかると思うんだけど、子牛のようなソースはほとんどかかってない。周りにレッドペッパーとグリーンペッパーを主にした水分の少ないソースを「くっつけてある」感じかな。子羊の肉を食べてみて、「あれ? これってソースに漬け置きしてある肉なのかな?」って思ったほど味を感じたんだけど、これって実はソースと肉の相乗効果だったらしい。後でシェフに「肉をどうやってマリネードしてるの?」って聞いてみたら「そういうことはやってません」だって。でも本当に肉汁とソースが渾然一体となって、口の中でくっきりとした像を結んでるんだよね。どんなに探してもいやな匂いや味は見つからなかった。完璧。パーフェクト。土下座。それでもって、肉の向こう側に見える三種類の付け合せ(たぶん三つともオリーブを細かく刻んだもの?)をちょっと肉につけて食べてみると、またまた違う性格の肉を楽しめる。なんかさー、ここまでくると、「ここに来てお金を払う以上、この肉の全ての味を体験してもらいます」って言われてるような気になってくる。すごい、スゴイ、もの凄い。まさに言葉がございません。

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子羊

 素晴らしいメインディッシュにもうメロメロになった後は、お決まりのチーズコース。大きなチーズプレートの中から、自分たちで好きなチーズを選んで楽しめる。今回は8~9種類ある中のほとんどが羊のチーズ。あまり羊のチーズが得意じゃない僕はちょっと引いちゃったけど、結果的にそれでも楽しめた。あまり羊のクセがないんだよね。それでももう少し僕の好きな牛のチーズも種類を入れてほしかったなぁ。あと、ほとんど完璧なディナーの中でちょっとだけハズレだったのが、僕らのテーブルのウェイトパーソン。なんかねー、慣れてないんだよねー。一番最初に飲み物を聞きにきたときにも、僕の注文だけ取って、Fさんの注文は僕が言わなきゃ忘れるところだったっぽいし。たぶん経験が浅いんだろうけど、それにしてもこっちまでビクビクしちゃうほど立ち振る舞いがおかしかった(って、食事にケチをつけられなかったから、ウェイターにケチをつけてるわけじゃありません(笑))。Lampreiaは食事が素晴らしいんだから、サービスももう一歩頑張って最高レベルに持っていってほしいなぁ。あ、そうそう、このチーズプレートと一緒に飲んだポートワインも最高に美味しかった!

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チーズ盛り合わせ

 さてさてデザート。Lさんは隣のテーブルで同じのを見て目がラブラブになっていた、チョコレートの「スープ」。これはチョコレートのマカロンみたいなヤツが入った皿に、チョコレートスープを流し込むってもの。僕も以前食べたことがあるけど、本当に美味しい。アメリカのデザートって日本人には甘すぎるのが多いんだけど、このチョコレートは甘さ控えめで本当に食べやすい。ここのオススメデザートの一つ。

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チョコレートの「スープ」

 僕はサンフランシスコのRitz-Carltonで同じようなデザートを頼んだこともすっかり忘れて、タピオカのプディング。Ritzのよりももっとネットリした感じで、どことなく「タピオカおじや」といった感じ(笑)。でも本当に上のオレンジと相まって、フルーティーで軽くて美味しいんだよ~。食後すっきりしたい方はぜひぜひお試しあれ。

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タピオカのプディング

 このLampreia、しばらく行ってなかったからいまだに僕の「一番のレストラン」であってくれるかどうかちょっと心配だったんだけど、期待を裏切らず、今回も世界一幸せな僕にしてくれた。Human Relationsの上手なLさんのお陰で、最後レストランを出る直前にシェフScott Carsbergと話をすることができた。以前もテーブルに挨拶に来てくれたことはあったんだけど、こんなに長く話せたのは今回が初めて。しきりに「今夜の料理が期待に沿えたかどうか心配です」って言ってたのが頭に残ってる。あんなに素晴らしい料理を作る人なのに、全然奢り高ぶったところがない。スゴイなぁ。いろいろ話をしているうちに、日本のあるシェフの大ファンだという話に。僕も聞いたことのないシェフだったんだけど、実はFさんの知り合いだという事でビックリ。今度日本に行くときには、ぜひぜひLampreiaのシェフでさえ尊敬するそのシェフの料理を味わってみたい。…でもちゃんとその前に財布の中身を確認してから行かないといけないようなところなんだろうなぁ(笑)。

 Lampreiaは人によって意見が分かれる場所だと思う。もっとソースやデコレーションをふんだんに使った料理が好きって人はこの店は合わないかもしれない。ただ、素材の味を150%味わいたいという人には、ここは絶対に最高の場所。日本人はそういう味感覚の人が多いと思うから、この店で感動する人も多いんじゃないかな。だいたいシアトルにはこういう店って他にはあまりない。同じレベルとなると、やはりThe HerbfarmかRover'sくらいになってしまう。この個性派Lampreiaの味、ぜひぜひ体感してもらいたい。
by seafoodie | 2002-11-09 00:00 | シアトル
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